Raw Power (Rmst)

2ndアルバム「ファンハウス」を発表後、ザ・ストゥージスはドラッグに溺れてエレクトラから解雇され解散状態となるが、72年イギーはデビッド・ボウィと出会い、彼の助力によってCBSと契約し復活することになる。そして73年イギー・ポップの代表作となる「ロウ・パワー」がリリースされた。ボウィはミックスを担当。マネージメントも彼のメインマン・プロダクションが行っているので、他にも様々なバックアップをしたと思われる。あまりにもカッコイイジャケット写真はミック・ロックによるもの。ちなみにこのアルバムの邦題は「淫力魔人」(なんだそりゃ!)


Raw Power

●曲目
1).Search And Destroy
2).Gimme Danger
3).Your Pretty Face Is Going To Hell
4).Penetration
5).Raw Power
6).I Need Somebody
7).Shake Appeal
8).Death Trip
(全曲Iggy Pop&James Williamson作)
●パーソネル
Iggy Pop: vocals
James Williamson: guitar
Ron Asheton: bass,vocals
Scott Asheton: drums
●プロデュース Iggy Pop
●リリース 1973年

このアルバムはイギーの魅力全開!やりたい放題としか言い様が無い。最近本人がミックスし直して再発されたCDを入手したが、元々ゴリゴリのロックン・ロール・アルバムだったが、それが一層鮮明な生々しい音になってよみがえり耳から血が出そうだ。

1).Search And Destroyから殺人的な音圧と正気じゃないスピード感。新ギタリストのジェイムス・ウィリアムソンの分厚いリフをバックにイギーが叫びまくる。3).Your Pretty Face Is Going To Hellではイギーとウィリアムソンが常識的な文法を無視したボーカルとギター・ソロでお互いを煽動する。4).Penetrationでは「ニャン〜ニャン〜」「ブルルーッ」とか獣じみた意味不明の叫び声と箱鳴りが伝わってくる執拗なギター・リフが最高。繰り返される綺麗なピアノの音が不気味。タイトル曲5).Raw Powerはイギーのゲップからはじまる。ラブ&ピースの対極にある音だけど、ロックン・ロールはこうでなくちゃ!確かにコイツは淫力魔人か?

中高生のころよくイギー・ポップをヘッドフォンで聴いた。何に悩んでいたのか全然覚えていないし、どうせガキの葛藤なんて大したもんじゃないはずだけど、イギーを大音量で聴いて救われていんだたと思う。他者や自己に対する暴力衝動や、あるいは憎しみの感情をイギーが代行的に昇華してくれた感じ・・・。「癒し系」音楽なんてインチキ臭いものじゃなく、イギーのような本物のロックン・ローラーにこそ人を救う力があるんだな。というわけでこれは、無人島に流されたら持っていくアルバムの確実な1枚だ。

※Rinky Dink Studioのライブ情報誌「De Pon」連載のコラム「Hoochie Coochie Man」に加筆したものです。