Sufficiently Breathless

キャプテン・ビヨンドの2ndアルバム。邦題「衝撃の極地」。発表当時からこのアルバムはボロクソに言われてきた。1曲目から爽やかなアコースティック・ギターが聴こえてきて、1stのハード・ロックが更にエスカレートするだろうと期待していたファンにとっては全く「衝撃の極地」だったのだ。
1stで物凄い変拍子ドラムを叩いていたボビー・コールドウェルが抜けたこと、作曲も前作のボビー・コールドウェル、ロッド・エヴァンスからベースのリー・ドーマンにチェンジしたことなどがマイナス要因だと言われることが多かった。最近のリー・ドーマンのインタビューを読むと、少なくとも作曲のクレジットに関しては色々事情があるようだ。1st録音時にはドーマンとラインハルトはアイアン・バタフライとの間で契約上の争いがあったためにクレジットされていないだけで、全曲4人の共作で印税も均等割りしたらしい。逆に2ndは、エヴァンスがディープ・パープルとの間に訴訟があり、ラインハルトもアイアン・バタフライとの争いが片付かず、ドーマンだけ自由だったので彼の名義になったということでこれも実態は3人の共作。マーティ・ロドリゲスとギル・ガルシアはサイド・マンで、アレンジだけに関わったそうだ。(他の2人については語っていない)

確かにボビー・コールドウェルが抜けたことにより、サウンドの衝撃力は弱まっているとは思うが駄作といわれるほどではないと思う。パーカッション奏者が入ったことで前作でも感じられたラテン風味がグッと強まり、ピアノの美しい旋律とスベイシーな音響も奏功して、スペース・ラテン・ロックというコンセプトはより具体化している。ジャケットも見開き表裏で宇宙空間を表現していてサウンドにぴったりだ。

何よりも強調したいのは、5).Starglow Energyの素晴らしさ。数あるハード・ロック・バラードの中でも大好きな1曲だ。LP時代はキャプテン・ビヨンドといえばこの曲ばかり聴いていた。ヘビメタ流の大仰でウェットなそれとは違う、乾いた叙情性とも言うべきキャプテン・ビヨンドの特徴が遺憾なく発揮されている。夜中に部屋の灯りを消して、ステレオのインジケーターの心細い光を見ながらヘッドフォンをつけずに聴くと、小さなロケットに乗って宇宙空間に一人で取り残されたような気になる。この1曲だけでもこのアルバムを聴く価値があるというものだ。

Sufficiently Breathless

●曲目
1).Sufficiently Breathless
2).Bright, Blue Tango
3).Drifting in Space
4).Evil Men
5).Starglow Energy
6).Distant Sun
7).Voyages of Past Travelers
8).Everything's a Circle
(全曲Lee Dorman作)
●パーソネル
Rod Evans:Voc.
Larry "Rhino" Reinhardt:guit.
Lee Dorman:bass
Marty Rodriguez:drums,percussion,Vibes,Bells,piano,back voc.
Guille Garcia:percussion
Reese Wynans:piano
(Paul Hornsby:organ on "Starglow Energy")
●プロデュース CAPTAIN BEYOND
●リリース 1973年
サフィシエントリー・ブレスレス