Captain Beyond

キャプテン・ビヨンドは元アイアン・バタフライのラリー・リノ・ラインハルト(ギター)とリー・ドーマン(ベース)、元ジョニー・ウインター・アンドのボビー・コールドウェル(ドラム)、元ディープ・パープルのロッド・エヴァンス(ヴォーカル)の4人で結成された「スーパーグループ」。
ラマタムの記事でも触れたが、70年代には複数の有名バンド・メンバーで組まれたバンドは、「スーパーグループ」と呼ばれて鳴り物入りで宣伝された。しかしほとんどの「スーパーグループ」は成功を収めることができなかったりあまり長続きすることがなかった。キャプテン・ビヨンドはそんな「スーパーグループ」の代表的存在だった。アメリカではパッとしなかったようだが、このアルバムはハードロック好きの多い日本では当時よく売れたらしい。

CAPTAIN BEYOND
●曲目
1.Dancing Madly Backwards (On a Sea of Air)
2.Armworth
3.Myopic Void
4.Mesmerization Eclipse
5.Raging River of Fear
6.Thousand Days of Yesterdays (Intro)
7.Frozen Over
8.Thousand Days of Yesterdays (Time Since Come and Gone)
9.I Can't Feel Nothin', Pt. 1
10.As the Moon Speaks (To the Waves of the Sea)
11.Astral Lady
12.As the Moon Speaks (Return)
13.I Can't Feel Nothin', Pt. 2
(全曲作詞作曲 B.Caldwell&R.Evans)
●パーソネル
Rod Evans:Voc.
Larry "Rhino" Reinhardt:guit.
Lee Dorman:bass,piano, back voc.
Bobby Caldwell:drums,percussion,Vibes,Bells,piano,back voc.
●プロデュース CAPTAIN BEYOND
●リリース 1972年

このアルバムはLPでは持っていたものの当時は愛聴盤とは言えなかった。なんともいえない無機質感があまり好きになれなかったからだ。CDで買いなおして聴く回数はぐんと増え、印象も若干変わった。ブルース味のほとんど無い今日で言うヘヴイ・メタルに近い硬質なサウンド、全体が組曲となっている構成、全編に漂うラテン風味、ゴリゴリの音色のギター・・・強いて言えばパープルに近いの音だが結構楽しめる。特質すべきはボビー・コールドウェルのドラムだろう。ジョニー・ウィンターやリック・デリンジャーのバックでも素晴らしいドラムを叩いているが、ここではさらにスピーディでタイトなプレイを披露している。ロック・ドラマーの中では私はかなり好きな人。作曲も担当しドラム以外にもパーカッションやピアノもプレイしている。実質的にこのアルバムではボビー・コールドウェルがリーダーシップをとっていると思う。

このアルバムを「70年代ハード・ロックの屈指の名盤」と評する人もいる。「名盤」の基準というのは、爆発的に売れたか、多くの人が名盤だと言っているか、名の有る評論家が名盤だと言っているか、そんなところだろう。まあ結局大した基準は無い。要は個人の好みだろう。私もラマタムの1stは名盤だと思っているが別に誰に同意してもらわなくてもかまわない。
このバンドに関して言えば、問題はロッド・エヴァンスのヴォーカル・声質への評価ではないか。極端に評価は分かれているようだ。絶賛する人もいるしそうでない人もいる。元々音域が狭く一本調子な歌唱がハイ・ロウをカットしたイコライジングでさら強調されているのだ。バンドの無機質でクールなサウンドにマッチしているとは思うのだが・・・

(「70年代ハード・ロックの屈指の名盤」は言い過ぎじゃないかと思います!!)

キャプテン・ビヨンド72


キャプテン・ビヨンド。左からリー・ドーマン、ラリー・リノ・ラインハルト、ロッド・エヴァンス、ボビー・コールドウェル