スティーヴ・マリオット1991年4月20日自宅で泥酔状態での寝煙草による火災で焼死したスティーヴ・マリオット。私のモスト・フェイバリット・ヴォーカリストの一人である彼の音楽人生を、関係者のインタビューと当時の映像で振り返るDVDを購入した。インタビューが主体でライブ映像は少ない。インタビューも興味深いのだがライブ映像をもっと入れてほしかった。

しかし!!クレム・クレムソン在籍時ハンブル・パイのライブが見られるのだ!「アイ・ドント・ニード・ノー・ドクター」がまるまる1曲収録してある。もしかして公開済なのかも知れないが私は初めて見たし、他のDVDには今まで入っていなかったものだ。この映像は本当に凄い。スティーヴの火の玉シャウトとパフォーマンスは、今まで見たスモール・フェイセスやピーター・フランプトン在籍時のパイ、また84年のパケット・オブ・スリーの映像とは比べ物にならない。160cm強の華奢な体から発せられる強烈なパワーはまさにダイナマイトだ。スティーヴの絶頂期がこの時期であることがはっきり分かる。この時期のものはもう1曲「ブラック・コーヒー」が収められている。恐らくスタジオでの映像だと思われるが、ブラックベリーズとの息の合った掛け合いが聴ける。しかし残念なことにインタビュー映像に寸断されてイライラする。他にもこの時期の映像があるのだったら、ぜひ演奏をきちんと収録したDVDを出してもらいたいと強く思った。
インタビューでは、スティーヴとの友情と確執の想い出に思わず目を潤ませるピーター・フランプトンが印象的だった。昔はフランプトンのジャズっぽいクールな演奏がパイには合わないし、カワイ子ちゃんなので妙に嫌っていたが、「こいつ友達思いのいいヤツだったんだな」と思った。頭も薄く地味なおじさんになったフランプトンを見て時の流れを感じた。
その他にインタビュー出てくるのは、ケヴィン・ダブロウ(クワイエット・ライオット)、サイモン・カーク、クリス・ロビンスン(ブラック・クロウズ)、ジョン・ヘリアー(ロック史ライター)、ケイ・マリオット(妹)、スペンサー・デイヴィス、クリス・ファーロウ、ピーター・フランプトン、ジェニー・マリオット(妻その1)、ドン・アーデン(マネージャー)、ジェリー・シャーリー、リッキー・バード(ジョーン・ジェット&ブラックハーツ)、ジェリー・モス(A&M創始者)、デイヴ・クレム・クレムソン、リック・ウィルス、トニ・マリオット(妻その2または3)。
別収録の「プレス・ルーム」には、他にリック・ニールセン(チープ・トリック)、バン・E・カルロス(チープ・トリック)、グレック・リドリーのインタビューが収められている。インタビューから見えてくるのは、浮き沈みの激しいロック・ビジネス、きついロード、それを耐えるためのアルコールとドラック漬けの生活、その結果としての常軌を逸した行動・・・60〜70年代のロック創成期とはそういう時代だった。スティーヴもその只中で生き、早すぎる死を迎えたロック・スターの一人だったのだとあらためて思う。

※DVDは輸入盤のため字幕無し。ただ日本でパッケージされたものは対訳ブックレットが封入されている。直輸入盤には何にも入っていないので注意。(私は両方買ってしまいました)


スティーヴ・マリオット・ストーリー