april2



ラマタムのエイプリル・ロートンの消息についての続きを。


「Vintage Guitar magazine」BBSで、新しい情報を提供しているのは"Bruce"と"Matt"だけである。
"Bruce"のほうから検討してみよう。


2ndアルバムのCD裏ジャケットには、(8.)Bounty on My Tableにゲスト・ソロイスト・バイオリンBruce Morgenheimとクレジットされている。しかし、Jammin' 105.9というサイトにあるラマタム2ndのデータ・リストでは、管楽器・弦楽器。指揮者合わせて総勢21人ものバック・ミュージシャンが載せられており、Bruce Morgenheimはギター、ボーカル、バイオリンとなっている。オリジナルのLPには記載されていたのかもしれない。私はおそらく"Bruce"はこのBruce Morgenheim本人だと思う。情報の具体性、ギターに関する知識がそう感じさせるし、「彼女は一緒に仕事がやり易かったとは言えないが、会えなくて本当にさびしい」( I'm not saying she was always easy to work with, but I sure miss her.)という言葉には真情がうかがえる。メールアドレスがeditor@〜となっているので現役のプロ・ミュージシャンではないのだろう。
彼の情報は、
(1)エイプリルは元々ジャズギタリストだったこと。
(2)エイプリル、トミー・サリバン、ジミー・ウォーカーの3人はザ・ブルックリン・ブリッジのメンバーだったこと。
(3)少なくとも70年代後半までエイプリルは演奏していたこと。
(4)その時点でTom Trewellaという男と結婚していたこと。
これらは"Bruce"がBruce Morgenheim本人であるとするなら信じるに足る情報だと思う。しかし、ザ・ブルックリン・ブリッジに3人がいたのなら、2ndアルバムはザ・ブルックリン・ブリッジの再結成みたいなものなのか?このグループに関しても調べてみたい。現在のところネットで検索しても良く分からない。エド・サリバン・ショーに同名のグループが出演しているが、写真を見ると全然雰囲気の違うおじさんグループだった。
結局のところ"Bruce"もその後のエイプリルの行方は分からないようだ。
次に"Matt"はどうか。
(1)Bob Cianci 著"Rock Drummers of the 60s"で、エイプリルは性転換した男性で元の名はフレディとされている。
「性転換説」は本に載っていますという情報。
嘘っぽいが本に載っているというなら確認するしかない。ちなみにこの本は、アマゾンで探してみると近く改訂版が出るようだ。旧版はアメリカからのユーズド品で42,000円と高値。これって普通のこと?それとも異常なこと?。日本の新古本は1,200円、即注文した。
(2)マイク・ピネラは「性転換説」を肯定した。また、98年時点でエイプリルとトミー・サリバンはカップルとなっており、元気でいる。
"Matt"の伝聞であって確認できない。しかしトミー・サリバンと一緒に居るならTom Trewellaという人とは離婚したのか?
(3)01年時点でエイプリルはニューヨーク州でグラフィック・アーティストとして名簿に載っている。2ndの中ジャケのアートは彼女の作品だろう。
"Matt"は名簿を見たのかもしれないが確認できない。2ndの中ジャケはギターを見せるというより、ペインティング作品を見せるという印象は確かにある。彼女が描いたのかも知れない。
(4)ザ・ブルックリン・ブリッジのアルバム・クレジットにエイプリル、トミー・サリバン、ジミー・ウォーカーの名は確認できない。
ザ・ブルックリン・ブリッジが謎なので良く分からない。
"Matt"の書き込みは文章が稚拙で、いまいち文意が分からないところが多い。また、伝聞が多く、第一次情報は名簿の件だけだがこれも今のところ確認しようが無い。そもそも、ファンだとか、侮辱する気は無いとか、プライバシーがどうのと言い訳ばかりしながら、「性転換説」を引っ張り出したりしてあまり印象が良くない。" j"がキレるのも分からないでもない。


「Vintage Guitar magazine」BBSについては以上だが、エイプリル・ロートンの消息について触れられている記事をもう少し紹介する。
一つは"Beginnings a tribute to Mitch Mitchell"というミッチ・ミッチェルのファン・サイトで、ここのラマタムのコーナーの本文には、エイプリル・ロートンは画家になった。彼女が音楽界に留まらなかったのはそれが理由である」という記述がある。
また、紹介記事「エイプリル・ロートンの『噂』」には、誰かが彼女は性転換者で本物の女ではないという噂を流した。私が思うに、意識の進んでいないあの時代には、本格的なロック・リードギターを演奏できる女性がいるなどとは誰も思っても見なかったのだ」と述べられている。これはメール記事で日付は2000年8月10日となっている。「Vintage Guitar magazine」BBS以前の情報であり、文面からして70年代当時から「噂」があったようにも見える。サイト管理者も「いつも世間は天才を受け入れる用意ができていないものだ」とコメントをつけてこの記事を紹介している。他にも、ラマタムのコンサートを見た想い出を綴った良い記事が載っているので、いつかこのブロクでも紹介していきたい。
最後にもう一つ、「Jazz Music Net」というサイトでのラマタム2ndアルバムのカスタマー・レビューの一つに次のような記述がある。"Science Digest"誌の1982年2月、4月(当然)、5月、10月号にエイプリルのアートワークに関する記事がある。あのレスポールは彼女が絵を描いたんだと思う」(この記事もトップからは見えなくなった。と思っていたらキャッシュも消えたようだ)


今のところ、エイプリル・ロートンの消息に関する情報はこれくらいしか見つからなかった。ほとんど憶測だが、私はラマタムとエイプリル・ロートンについて次のように考えてみた。


エイプリル・ロートンとトミー・サリバンは、ブルックリン・ブリッジに同時に在籍していたかどうかは別にして、ラマタム結成以前から旧知の間柄だった。また、1stのクレジットにマイク・ピネラとラス・スミスは"furnished courtesy of Schillman&Larson. Inc."とあるので、彼らは元々つながりがあった。ラマタムというグループは、「ピネラ/スミス」+「ミッチェル」+「ロートン/サリバン」の3つの部分の集合体だった。1stアルバムを発表して話題にはなったが、ロートン/サリバンとピネラ/スミス/ミッチェルとの間で何らかの確執があった。二枚看板の一人マイク・ピネラは、エイプリル・ロートンばかりに注目が集まるのが不満だったかもしれない。その結果、マイク・ピネラ、ラス・スミス、ミッチ・ミッチェルは脱退してしまう。残ったロートン/サリバンは昔の仲間のジミー・ウォーカーを呼び寄せてバンドを立て直そうとするが、楽曲のレベルやボーカルの弱さからセールス的にうまくいかなかった。(2ndはアトランティックとの契約上の理由で止む無く制作された可能性もある)
バンドが当初の思惑通りに売れない上に、「女性にしては上手い」「女だてらに」「美人ギタリスト」といった注目のされ方ばかりで、挙句の果てには「性転換」の噂まで流されたエイプリル・ロートンが、音楽業界に嫌気がさしたとしても無理は無いのではないか?そしてギターをおき、もう一つの才能であるグラフィック・アーティストの道を選んだのではないか?


今でもエイプリル・ロートンを忘れないファンの前に再び彼女が姿を現し、その素晴らしいギターを聴かせてくれることはもう無いのだろうか・・・


追記 2005/5/23
「グレイト・ロック・ドラマーオブ・ザシックスティーズ」を入手した。あえて原語で表記しないが、ミッチ・ミッチェルのコーナーのラマタムのくだりに、「もう一人のギタリストはエイプリル・ロートン、彼/彼女が性転換手術を受ける前までの名前はフレディと伝えられている・・・もしくはそのように言われてきた」という記述がある。日本語だと分かりにくいが「そのように言われてきた」は「彼〜伝えらている」全体に掛かっている。つまり「元の名前はフレディ」も伝聞、さらに「性転換手術」も伝聞、二重にあやふやな記述としか言いようが無い。こういう噂・伝聞を書いた著書を、当人の住んでいる国で出版する人の気が知れない。噂の正否は措いて、このような無神経な風聞がエイプリル・ロートンを音楽シーンから消し去った要因の一つだとしたら残念でならない。