In April Came the Dawning of the Red Suns

ラマタムのセカンド・アルバム「In April Came The Dawing Of Red Suns」(邦題『暁の妖精』)の紹介もしておこう。実はこのアルバムはLPを買いそびれていたのでリアル・タイムでは聴いておらず、今回初めて聴くことができた。エイプリル・ロートンの使用ギターの写真が中ジャケにあるので、ハンバッキング・マイクでアーミングって何を使っているのかな?という長年の疑問が解けた。一面にアステカ風というのかマヤ風というのか、びっしりイラストの入ったすごいヤツだった。


セカンド・アルバム「In April Came The Dawing Of Red Suns」のデータは以下の通り。

●曲目
1.Land/Rainy Sunday Evening(Lawton,Sullivan)
2.Rainy Sunday Morning(Lawton,Sullivan)
3.Betty Lou(Lawton,Sullivan)
4.I Can Only Love You(Lawton,Sullivan)
5.Except from Guitar Concerto(Lawton)
6.Autumn Now(Lawton,Sullivan)
7.Stars and Stripes Forever(Sousa)
8.Bounty on My Table(Lawton,Sullivan)
9.Free Fall(Sullivan)
10.Push a Little(Lawton,Sullivan)
11.Rhinoceros(Lawton,Sullivan,Walker)
●パーソネル
April Lawton:guit., bass,voc.
Tommy Sullivan:keyb., reeds, guit., bass,voc.
Jimmy Walker: drums, voc.
●プロデュース Ceoffrey Haslam
●リリース 1973年

マイク・ピネラ、ミッチ・ミッチェル、ラス・スミスが脱退したラマタムは、ジミー・ウォーカーを加えて再出発することになった。というより、解散同然のバンドに助っ人ドラマーを参加させてセカンド・アルバムを録音した、ということかも知れない。いずれにしてもベーシストのいない不完全な編成で、まともなライブが出来たのか疑問だし、急場しのぎの観は否めない。

マイク・ピネラが去ったことにより、セカンド・アルバムはエイプリル・ロートンとトミー・サリバンの独壇場となる。特にエイプリル・ロートンはギター、ベースに加えて(6.)ではハモンド・オルガン、ハーモニカを担当し、(8.)ではリード・ボーカルまでとっている。(唯一エイプリルの歌声が聴けるのでファンとしては胸がキュンとする。80年前後のユーミンみたいにメランコリックな曲。)ギター・プレイはさらに凄みを増している。アーミングもより大胆になり、フレーズも早すぎてどうやって弾いているのがよく分からない程。ライトハンド奏法のようにも聴こえる。彼女はアル・ディメオラ、ジョン・マクラフリンのような「クロスオーバー」を志向していたのかもしれない。トミー・ボーリンとの共通性も今回初めて感じた。しかし、その疾走感溢れる超絶プレイは(4.)(9.)(10.)の3曲でしか聴くことができない。そりゃ無いよ!

バンドにとって、やはりマイク・ピネラの抜けた穴は大きく、ファーストのようなエネルギッシュなパワーは感じられなくなった。トミー・サリバンの線の細いボーカルは(4.)(9.)(10.)のようなハードな曲にはつらいものがある。楽曲もファーストに比べてぐっと落ちる。(7.)Stars and Stripes Forever(星条旗よ永遠なれ)は何で収録しいてるのか意味不明で、リスナーは2回目からは必ず飛ばすだろう。こんなの入れるなら歌無しでエイプリル・ロートンのギター聴かせろと言いたくなる。

残念ながらこのセカンド・アルバムは広くお勧めすることはできない。しかし、1枚目を聴いてエイプリル・ロートンのギターに魅力を感じた人にはぜひ聴いてもらいたい。この2枚でしか、その後消息不明の彼女のプレイを聴くことはできないのだから。

ラマタム中ジャケ