Ramatam

ラマタムのCDが届いた。20年ぶりに聴くことができたラマタムのサウンドは、やはり素晴らしいものだった。今回は興奮が収まらないうちに気合を入れて書こう。

ラマタム(Ramatam)はブルース・イメージ/アイアン・バタフライのマイク・ピネラ、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのミッチ・ミッチェルが中心となって72年に結成された。
ロックの歴史がまだ浅いこの当時、複数の有名バンド出身者が新グループを作ると、よく「スーパー・グループ」などと呼ばれて注目された。カクタス、キャプテン・ビヨンドなども同様である。ラマタムの場合はさらに、当時珍しい女性ギタリストが参加していたこともあって評判を集めた。彼女はエイプリル・ロートンという洒落た名前で、それまでのキャリアなどは全く不明だが、ギター・テクニックが凄まじくおまけに美人ということで話題になった。

他に、キーボードにはブルックリン・ブリッジというポップス・グループ出身のトミー・サリバン、ベースにはラス・スミスが参加している。ファースト・アルバムのプロデュースは、数々の名盤を世に送っているトム・ダウド。なおジャケット・デザインにHiroshi morishimaという日本人らしい名前がクレジットされている。グラフィック・デザイナーで森島紘史という方がいるがこの方面疎く詳細不明。

ファースト・アルバム「Ramatam」のデータは以下の通り。

●曲目
1.Whiskey Place(Lawton,Sullivan,Pinera,Smith,Mitch Mitchel)
2.Heart Song(Pinera,Sampson)
3.Ask Brother Ask(Pinera)
4.What I Dream I Am(Lawton,Sullivan)
5.Wayso(Lawton,Sullivan,Pinera,Smith,Mitch Mitchel)
6.Changing Days(Lawton,Sullivan)
7.Strange Place(Pinera)
8.Wild Like Wine(Smith)
9.Can't Sit Still(Lawton,Sullivan)
●パーソネル
Mike Pinera:guit., voc.
April Lawton:guit.
Russ Smith:bass, voc.
Tommy Sullivan:keyb., reeds, voc.
Mitch Mitchel:drums
●プロデュース Tom Dowd 
●リリース 1972年。

サウンドの基本線としてはハード・ロックだが、メンバーそれぞれの音楽性を反映して、ロック、ファンク、ポップス、フォーク、ジャズのごった煮状態。前途洋々たる新グループということで、楽曲作りの面でもパフォーマンスの面でも、全員前に出ようと競い合っている様子がうかがえる。これがアルバムに緊張感と力強さをもたらしているようだ。

やはり特に印象に残るのは、マイク・ピネラのしつこい程アクの強いボーカル。写真を見なければ黒人ソウルシンガーと思う人もいるだろう。ギターはセミアコ(335)と思われるが、乾いた音色とちょっと素っ頓狂なフレーズがいい味を出している。

そして、エイプリル・ロートンのドライビング・ギターが素晴らしい。いわゆる早弾き系なのだが無味乾燥なフレーズは一切出てこない。張り切りすぎて少し上ずっている印象もあるが、そこがまたスリリングでセクシー。セカンド・アルバムの中ジャケットを見ると、3マイクのレスポール・カスタム(アーム付)を使っているようだが、あまり分厚いサウンドではない。マイク・ピネラとのツイン・リードのハーモニーもカッコよい(ウィッシュボーン・アッシュのようなリリカルなものではない)。

トミー・サリバンのサックス、フルートがサウンドに不思議な色気を醸し出し、楽曲の奥行きを深くしているのも好印象。さらに今回CDではベースがよく聞こえた。ラマタム前後の経歴が全く不明なラス・スミスだが、とても良いプレイヤーだと感じた。

楽曲のクレジットを見ると、全9曲中全員の合作が2曲、ロートン/サリバンが3曲、ビネラが3曲、スミス1曲となっている。スミス作の1曲を除いて、ピネラの曲とロートン/サリバンの曲に分けられるようだ。バンド合作の2曲はビネラが主導権を取っている印象を受ける。ピネラのハードなロック&ファンク路線、ロートン/サリバンのメロウなジャズ&ポップス路線という2本の軸があり、結局ロートン/サリバンを残して他の3人が脱退したことにつながったと推測される。

その後マイク・ピネラはカクタスの残党デュアン・ヒッチングスとニュー・カクタス・バンドを結成。このバンドはもうスーパー・グループと呼ばれることは無かった。マイク・ピネラという人は実力はあるのに、ブルース・イメージやアイアン・バタフライにしても、ニュー・カクタス・バンドにしても、どうも二級というイメージがつきまとう。今となってはマイナーだが、案外ラマタム時代が一番脚光を浴びたのかもしれない。

個人的な感想としては、代表曲とされる(1.)Whiskey Placeものっけからワクワクさせてくれて大好きだが、ロマンチックな(4.)What I Dream I Amと(6.)Changing Daysが良かった。10代〜20代の頃LPを聴きながらよく一緒に歌っていたので、CDには歌詞カードは付いていないが、サビの歌詞をすぐ思いだしてまた歌ってしまった。甘酸っぱいねぇ。